マルドゥック・スクランブル

木曜の夜中に帰宅してから読み込んでしまったので、金曜日の朝は勉強出来ませんでした。。。

なぜ、私なの?―賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットの叫びは爆炎のなかに消えた。瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にしてネズミ型万能兵器のウフコックだった。高度な電子干渉能力を得て蘇生したバロットはシェルの犯罪を追うが、その眼前に敵方の担当官ボイルドが立ち塞がる。それは、かつてウフコックを濫用し、殺戮のかぎりを尽くした男だった…

上中下の三分冊。SFって久しぶりに読んだけど、この作品をライトノベルとして売り出すか、本格SFとして売り出すか、出版社としては悩んだんじゃないだろうか。結局表紙はどちらともとれるようなものになっている。
非常にキャラクタが魅力的に書かれていて、特に主人公であるバロットと、彼女を保護するウフコック・ドクターが良い。傷ついて殻の中に閉じこもってしまっていたバロットが、ウフコックやドクターと出会い、少しずつ外に出ていく。自分で決め、自分の足で歩み始める。その過程が非常に分かりやすく描かれていて、読んでいて楽しい。
しかしやはり白眉なのは2巻〜3巻にかけて描かれるカジノシーン。カジノだけでココまで書ける人ってなかなか居ないのではないだろうか。ゲームに対する熱気や興奮もさることながら、バロットの内面が少しずつ掘り下げられ、研ぎすまされていく様が描かれる。ここは素晴らしい!凄く面白くて、その後の最終対決が薄れてしまうぐらい・・・。面白い作品でした。